天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
「っきしょ…う…」

いつも飄々とした宜虎が、珍しく苦悶の表情を浮かべる。

ガクリと膝をつき、視線を下向かせる。

対するこはくも。

「っ…くっ…」

脇腹を押さえて荒く息を吐く。

…あの闇の校舎での自らの立ち合いを見ているようだ。

観客席から妻の戦いを見つめつつ、体育教師は思う。

「あにうえっ…」

月姫はもうクシャクシャに泣き腫らしていた。

あの時の兄は、苦笑いを浮かべつつもまだ軽口を叩く余裕があった。

今回も同じ攻防。

しかし兄の表情は追い詰められている。

今にも前のめりに倒れそうなほどに。

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