天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
そんなやり取りをする龍太郎と龍娘のそばに。

「あらあら、仲良しですね」

一人の女性が歩み寄ってきた。

腰までの長さの艶やかな茶髪。

琥珀色の瞳、口許には微笑。

泣いている訳でもないのに目許の辺りがほんのりと色づいた、いわゆる大和撫子。

龍太郎でなくとも見惚れる美人だ。

「おお、こはくではないか」

龍娘が声を上げる。

夕城 こはく(ゆうしろ こはく)。

現在は部外者でありながら、天神学園男子生徒の間でも絶大な人気を誇る、言わずと知れた愛妻家体育教師の妻。

元天神学園体育科臨時講師で、結婚してから退職した。

「丹下と方向音痴弟が、お前の屋敷では世話になったな。今日は弟子どもの様子見か?」

にこやかに語りかける龍娘。

しかし、こはくは傍らの参加者名簿を手に取り。

「ううん」

達筆でスラスラと自身の名を書き込む。

「僕も参加♪」

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