天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
「それでは両者とも、悔いのないよう全力を尽くして、遺恨なきよう戦うように」

両選手に確認を取るように言う龍娘。

彼女の言葉も、既に二人には届かない。

青白き闘気。

戦う者のみの空間が、そこには形成されていた。

龍娘とて武に身を置く者。

それを読めず、また邪魔をする気もなく。

「勝負…はじめいっ!」

開始の合図と共に。

「っ!!」

こはくは黄昏を、茜は苦無を手に、開始線から瞬時に姿を消した。

無論、姿を消したというのは喩えだ。

「えっ、どこっ?」

会場で見ていたきょうこが視線を泳がせる中。

「あそこだ」

龍太郎が顎をしゃくる。

見れば開始線から数メートルは離れた位置、リングの縁を沿うようにして、こはくと茜は刃を切り結びつつ疾駆していた。

何という俊敏な動きだろう。

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