天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
広いリングが、あっという間に煙で覆われる。

「何だこれは…こはくが見えんではないか」

客席で苛立ちを隠す事なく露わにするのは夕城の旦那様。

「試合見えないじゃん!」

「金返せ!」

きょうこと陽も並んでブーイング。

仲いいなお前ら。

そんな中。

「……」

煙幕に包まれたこはくは、視界不良の中で佇んでいた。

白煙の中、声だけが聞こえる。

「今日は無風…煙幕を焚くにはうってつけだ」

「そこっ!」

振り返り様に黄昏を振るうも、刃は空を斬る。

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