天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
茜は実に慎重だった。

接近戦が得意と言っておきながら、この煙幕の中、手裏剣で少しずつこはくを攻める。

勝ちを急がない。

確実に仕留められる状況に持ち込むまで、迂闊には近づかない。

「本来なら毒でも塗った手裏剣で一撃の下に仕留めるのだが…」

「わかります…」

身につけた白いカッターシャツが、所々血に染まっている。

それでもこはくは笑みを浮かべ。

「茜さんはそういった手段をとらない武人肌の方と見受けました」

「…………夕城の奥方にそこまで言われるとはな…朱崎家に末代まで語り継ごう」

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