天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
「貴方は科学者畑の人間だから、理解しにくいかもしれないけれど」

肩の痛みに耐えつつ、苺愛は薄く笑った。

「戦場に身を置く者は、『動けるうちは戦闘続行』っていうのが常識なのよ?骨が折れたから、重傷だから…なんてのはスポーツ武道の感覚。殺し殺されの世界では、腕がもげても立っていた方が勝ちなの」

その覚悟でいくなら、たとえここでストロマが苺愛の手を振り解いて逃げたとしても、一発や二発は撃たれるだろう。

どんなに有利な状況下でも、撃たれた後まで戦闘を続けるほどの覚悟は、ストロマにはない。

「それに…」

苺愛は自らの左肩を見る。

「上手く踵落としを入れてくれたのね…肩は外れただけみたい」

「そりゃあ…君は女の子だからな…平気で骨を折るほど俺も鬼じゃない」

苦笑いするストロマ。

勝敗を分けたとすれば、その優しさか。

「わかったよ…俺の負けだ!」

「その台詞はやっぱりカメラ目線なのね…」

外れた肩を自らはめ直しながら、苺愛は呆れた。

< 99 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop