Are you ready ?
「いや、あの…っ」
どうしよう。
口が滑ったはいいものの、その先が出てこない。
ぅうー…っ
私が大口叩けることじゃないのにぃ~!
「ぁ、う……」
『いぶは、俺に練習してほしいの?』
――…っ
なんでだろう。
壱くんはいつも、私が言いにくいことを代わりに言ってくれる。
なんで、わかるんだろう…?
「私も頑張るから…壱くんも、頑張ろ…?」
『ふっ――…ぁあ、約束。絶対、いぶに優勝をプレゼントしてやるから。』
「…!ぅんっ、待ってる…!!」
どうやら、壱くんはやる気になってくれたみたい。
『今日も一緒に帰ろう。終わったら、ここにいて?迎えに行く。じっとしてるんだよ、僕の仔猫ちゃん♪』
「は、はぃ…っ」
耳元でそんな恥ずかしい決め台詞を言って、壱くんは教室を出ていった。
『――イブ~?』
「あっ、はいっ!!」
壱くんたちと入れ替わるようにして入ってきたのは美鈴ちゃん。
『まだ着替えてなかったの!?皆、もう準備体操やってるよ。早くイブも来なさい?』
「うん!すぐ行くね…っ」
『あいよ~!』
やばい、やばい…っ
忙しそうに教室を出ていった美鈴ちゃんを見送って、素早く体操着に着替えた私は、すぐに運動場へと向かったのだった。