Are you ready ?
ピピーッ
試合終了のホイッスルが鳴る。
その音を聞いた瞬間、何かのスイッチが切れたのか、全身の力が抜けた。
『イブッ――!?』
「…――、壱、くん…?」
倒れこみそうになった私を、いつの間にか傍にいた壱くんが受け止めた。
『よく頑張ったね、いぶ。』
「……っ」
お姫様だっこされた私に、壱くんはそう言った。
壱くんはきっと分かってたんだ。
私が捻挫してること。
でも、それでも試合に出続ける私を見守ってくれてたんだ。
そんな壱くんの優しさに心を打たれた私は、泣きたくなった。
「どこ行くの…?」
『保健室。けがの手当てしなきゃね?』
「そっか…。」
壱くんの言葉に、他人事のように返事を返す。
あ、皆…。
試合が終わって、皆のところに行くのを忘れていた私は、皆が集まっている場所を見ると、
“お疲れっ”
皆が口パクでそう言って、手を振ってくれた。
“ありがとう”
わたしもそう返して、皆が笑顔である事に胸を撫でおろした。