Are you ready ?
その後、手際良く右足首の固定を済ませた壱くんは、次に消毒液と絆創膏とガーゼを持ってやって来た。
『じゃぁ、すり傷の手当てもしようね。』
「ふぇ…っ、それ、痛いの…?」
昔からドジだった私はよく転ぶ子で、消毒液の痛さに、よく泣かされた。
そんなトラウマがあってからか、私は消毒液だけは好きになれない。
そんな私の事を見抜いたのか――
『痛くないよ。』
壱くんは優しくそう言うけれど、
「本当に…?」
私はこの時だけは、正直に信じることは出来なかった。
だって、お母さんもそう言ったのに、結局ものすごく痛かったし…っ!
『本当だよ。だから、いいよね?』
壱くんはそう言いながらも、消毒液のふたを開ける。
疑問形にいいながら、結局はするんじゃんっ
私は最早涙目だった。
『力抜いて、いぶ。』
「無理…っ」
『力抜かないと治療できないから。』
「無理無理無理ぃ…っ」
迫る消毒液に、目に涙がたまり始めた。