Are you ready ?
「すごいね、壱くんって。」
『え?』
ただ、控室から出てきただけなのに、あんなに注目されて。
観客席にいるほとんどの女の子を一瞬で魅了してる。
私って、とんでもない人を彼氏にしてるんだなぁと思った。
『何、ボーっとしてんの?イブ。』
「へっ?」
『試合、始まるよ。』
美鈴ちゃんの言葉とほぼ時を同じくして、体育館に試合開始のホイッスルが鳴った。
「壱くんが…動いてる!」
『そりゃ動くでしょ。何言ってんの?』
「ちがっ…そうじゃなくて」
試合が始まった途端、私は壱くんのプレーに釘付けになった。
あんなに早く動いてる壱くん、見たことない。
試合開始から、壱くんはシュートを何本も決めていた。
「格好いい――」
いつもやる気がなさそうで、どこか退屈そうにしてて、甘い雰囲気を出してる壱くんしか見たことなかった私は、大声を出して第一線を走ってる壱くんが素敵に思えた。