Are you ready ?




『あら、壱くんってばまだ言ってなかったの?』

『さっき、ちゃんといぶには伝えたんですけどね。』

『もう、イブったら。グダグダ言ってないで行ってらっしゃいよ。』


この言葉は年頃の娘に言っていいことなのでしょうか?

娘が男の人と泊まるんだよ!?

1日ならまだしも、3泊も!

なのに、お母さんの様子からは全く反対の意が感じられない。


「で、でも、お母さん、私がいなくなったら淋し――」

『さぁ、この連休、久しぶりに美智留に会おうかしら?』


わざと、私の言葉にかぶせてそう言うお母さん。

ちなみに美智留さんとは、お母さんの高校時代からのお友達。


「私、枕が違うと眠れな――」

『いぶの枕、持ってきても構わないよ。』

「~~~っ」


最後の悪あがきも、見事壱くんに封じられ。


『まとめてきな?』

「……はーい…」


壱くんの有無を言わせない笑顔のおかげで、私は素直に荷造りを始めたのだった。



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