Are you ready ?



3泊4日分の荷物と、月曜の授業のテキストを詰め込んだ通学カバンを持ってリビングに戻った。


『持つよ。』


そう言って、さりげなく重たい荷物を私から取り上げる壱くん。


『こんな重たい荷物持って、重たかっただろ?俺を呼べばよかったのに。』

「そんな、大丈夫だよ?これくらい。」


確かに重たかったけど、いくらなんでも子どもじゃないんだし。

それに、こんなことで壱くんを呼びつけるなんてできないよ。

壱くんは私のお世話係じゃないんだもの。


『じゃぁ、もう行こうか。忘れ物はない?』

「うん、大丈夫だよ!」


当たり前のように私の重たい荷物を持ってくれる壱くん。

手持無沙汰な私は、とりあえず感謝の意味も込めて壱くんの通学カバンを持つ。

体操服くらいしか入ってないみたいで軽いけど。


「お母さん、行ってくるね。」

『はーい!楽しんできなさいねー!壱くん、ウチの不出来な娘をよろしくね。』

「お母さん!」


そこまで卑下して言う⁉


『はい、よろこんで。』

「壱くんまで!」


そこは否定しようよ!!

まったく、もう!


そうして、私はちょっとむくれながら上機嫌な壱くんと一緒に家を出たのだった。




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