Are you ready ?
「お母さんってばひどい!」
『まぁまぁ、良いお母さんじゃん。いつも笑顔でさ。』
「まぁ、うん。そうなんだけどね。」
言われてみればその通りで。
初めて歩く壱くんの家までの道のりを進みながら思った。
昔に比べれば、お母さんは明るくなったなって。
「壱くんのお母さんはどんな人?」
『え?』
私のふと浮かんだ質問を投げかけると、歩いていた壱くんの足が止まった。
「い、壱くん?」
『…いぶのお母さんとは真逆の人だよ。』
「え…?」
真逆――って?
どういうことなんだろう。
肝心の壱くんは俯いていて顔は見えなかったけど、壱くんを囲う雰囲気が言っていた。
苦しいって。
壱くんと壱くんのお母さんの間には、何かがあるんだろうか。