Are you ready ?



――数分前、私の髪を思いのままに扱ってくれて、ますます上機嫌になった壱くんは、そのままお風呂に消えて行った。

その間に。

その間にね、私はこのYシャツ姿から脱出するため、自分が持ってきた自前のパジャマに着替えようとね、したんですけどね、


「ないっ、ない…何で!?」


自分のバックを隅から隅まで探しても見当たらない私のパジャマ。

持ってくるの忘れた?

いやいやいや、でも確かに確認してバックに入れた。

部屋を出る前、服と下着とパジャマだけはちゃんと数えて確認したもん!

なのになぜ…っ!?

パジャマの神隠し!?(←んなわけねぇ。)


…もしかして。

壱くんが盗んだんじゃ……。

いやいや、人を疑うのは良くない。

やっぱり私が忘れただけかもしれないし。

入れたのは夢だったかもしれないし。(それもどうかと…。)


うん、そうだよね、

きっと私が忘れちゃったんだよ!

もー、こんな時まで詰めが甘いって言うか、何て言うか――


ザァーー


自分の間抜けさに、再び渇を入れていると、窓越しに聞こえた雨音に、窓の外を見る。




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