Hurt〜傷〜
「あら?あなたが渉くん?」


俺を見つけると、女はいきなり話しかけてきた。

親父の女が俺に何の用だよ?と思ったが無視するのは失礼だと思い、返事をした。


「そうですけど…何ですか?」


女は俺を品定めするように、上から下まで見ている。


「う〜ん…お父さんに似ているなぁって、思ってね」


あんな親父に似ているなんて、胸くそ悪かった。

しかし、あんまり相手にもしたくなかったんで、受け流すことにした。


「そうですか?じゃぁ、俺はバイトなんで…」


そう言って、家を出ようとした時だった。


「待って!!」


そう女に手を引かれて、止められた。

本当にこの女は何なんだ?と思った。
< 34 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop