Hurt〜傷〜
「どうしたの?」


純がなかなか返事をしないので、渉は優しく話しかけた。

純は気まずそうに苦笑いをした。


「…私、お母さんに暴力されるって言いましたよね?」

「うん。聞いたよ」

「私のお母さん、8時に家に帰ってくるんです。
それまでに晩ご飯を作っておかなくちゃいけないんで、朝作って、冷蔵庫に入れておくんです。
帰りが遅いのは、バイトだって言い訳してるんです。
だけど…酔ってる時とか、機嫌が悪い時は殴られるんです。
…だからお母さんが寝る時間までは帰れません…」


純は目に涙を溜めながら話した。
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