Hurt〜傷〜
俺はその言葉を聞いて、何も言えなかった…。

俺は目の前でカツアゲをされていた奴等を見下していただけで、助けようなんて、微塵にも思わなかった。

それどころか、目の前で誰かが転んでも、きっと手を差し伸べることもしないだろうと思った。

俺が自分の心の狭さや醜さに愕然としていると、女の子は口を開いた。


「一応、応急処置はしておきましたが、ちゃんと病院に行って下さいね」


そう優しい笑顔で言って、自分の傘を俺の肩にかけて、走って行ってしまった。

俺にはその純粋な笑顔が眩しくて、俺との心の違いが歴然としたような感じがして、またしばらく動けなかった…。
< 75 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop