Hurt〜傷〜
私は救急箱を持って、部屋に向かった。

一通り怪我の手当てを終えて、ベッドに横になった。

そして枕に顔を押しあてて、泣いた。

今日、家に帰って来るまでの私は、本当に幸せだった。

私のことをちゃんと理解して、優しく支えてくれるような素敵な彼ができた。

私は、何だか人生が変わるような気がした。

でも実際にお母さんを前にすると、恐怖に身がすくみ、何もできない、しない、戦線離脱した私。

結局、私は何も変われなかったんだ…。

お母さんを前にすると、何もすることができない、自分の脆弱な心が憎い…。

自分の弱さや無力さに、ただ、ただ、涙が出てきた…。
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