【完】寂しい夜は、あなたに逢いたい。
「寂しそうな顔してないなら、それで安心した」
「本当にそれだけでいいの?」
天音は、私の腕を掴んで、そう迫ったけれど、私はその手をほどいて、仕事場へと向かった。
バックの中には、紫音がくれた折りたたみ傘。
私は決めていた。
もし、また雨が降ったら…その時は紫音に伝えようって。
今、私が寂しいのは、紫音のせい。
さよならの後で気づいたの。
紫音。
寂しい気持ちじゃなく……。
今、このどうしようもない愛しさを、あなたに抱いて欲しい。