【完】寂しい夜は、あなたに逢いたい。
「シオン、大丈夫だから。秀帰って!私、今この人と付き合ってるの。迷惑なの」
私はシオンの手を引いて、中へ入れると、部屋の扉を閉めた。
「おい!沙絢!沙絢!」
秀は、扉の向こうから必死に私の名前を呼んでいた。
「沙絢さん…本当にいいの?あの人って、沙絢さんの前の彼氏…なんでしょ?」
「いいの。もう、いいの……」
私は何も聴きたくなくて、耳を塞いだ。
しばらくすると、秀も諦めたようで、声も、ドアを叩く音も聞こえなくなった。