【完】短編集~幼馴染み~
「陸。あたし、ちゃんとまた戻ってくるから。きっと、戻ってくるから」
「あぁ。ずっと、ずっと、待ってる」
「…そろそろ、行くね」
行こうとした未来の腕を、俺は掴んだ。

「陸…?」
「お前が戻ってきたら…」
「ん?」
「未来がここに戻ってきたら、結婚しよう」
「っ…んっ……!」
俺は未来に、キスをした。

―――約束の、キスを。

「未来、行ってこい…!!」
「陸、行ってきます…!」

未来が俺に見せた笑顔は、最高に…
綺麗で、可愛かった。



これが、俺がみた…


未来の、“最後”の笑顔だった。



あの約束のキスが、



未来とした、“最後”のキスだった。


なにもかもが、“最後”だったんだ。






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