【完】短編集~幼馴染み~
『あたし、夕陽が好きなの』
真っすぐな瞳で。
『あたし、ずっと、ずっと…夕陽が大好きだったの。ずっと、夕陽だけを想ってきたの』
綺麗な涙を、流して。
『だけど、もう…やめるから。夕陽のこと、ちゃんと諦める』
どんな気持ちだっただろう。
夏希は…
『ね、夕陽…。ちゃんと、幸せになってね』
『だって…夕陽が幸せなら、あたしも…幸せだから!』
俺の幸せを、願った。
自分の幸せより、俺の幸せを。
『瑠奈と付き合えて、よかったね!おめでとうっ!』
夏希は、最初から最後まで…
優しかった。
『夕陽…
―――…大好きだったよ』
その時の夏希の笑顔は…
残酷なほど、綺麗だった。