【完】短編集~幼馴染み~
「名付けて…嫉妬大作戦だ!」
「え、嫉妬…?」
「そ、嫉妬。宏也にヤキモチ焼いてもらう」
「む、無理だよ!」
「大丈夫」

翼くんが“大丈夫”というと、なんでか安心する。
まるで、魔法の言葉。

「俺、明日朝2年の階に行くよ。で、階段の近くで2人で話してるんだ。
宏也が朝練後上ってきたとき、俺らが仲よさそうに話しているのを目撃。
で、嫉妬!みたいな」
「うまく、いくかなぁ?」
「俺を信じろ!絶対、うまくいく」
「わ、分った。頑張るよ」
「頑張れ」

ポンポンと、あたしの頭を撫で、優しく微笑む翼くんにドキッとする。

「っ//あ、あたしそろそろ帰るね!」
「おう」

翼くんはいつも玄関を出て、あたしが家に入るのを確認してから帰る。

前に、隣だからいいのにって言ったら――…

『いくら隣でも、美月は女の子。危ないだろ?』

だって。

心配性だなぁ、なんて思った。


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