【完】短編集~幼馴染み~
ベンチに座り、宏也が口を開く。

「…返事、聞かせてもらっていい?」
「………あたしね、分んないの」

今、あたしが思ってること。
全部、宏也に言おう。

「…なにが、分んない?」
「…あたしは、宏也が好きだよ?って、知ってるか、3回も告白したもんねっ!
……ずっと、宏也が好きなの。
宏也があたしを好きになってくれることが、あたしの夢だった。
今日…宏也に告白されて、嬉しかったよ。
だって、やっと夢が叶ったんだもん。努力が、報われたんだもん…」

宏也は、あたしの目をちゃんと見て、話を聞いてくれている。

「なの、に…。どうしてか、素直に…喜べないの…!
あたし、自分が訳わかんない!頭ん中、ぐるぐるする…。
あたしは、宏也が…好きなのに…っ」

あたしの目には、涙がたまっていた。

「美月の気持ち、聞かせてくれてありがとな。
…俺が、俺の気持ちに気付くのが、遅すぎたんだ…」

「え?」

「…美月はさ、…兄ちゃんが、好きなんだと思う」

「……翼、くんを?」


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