【完】短編集~幼馴染み~
「宏也…ごめんなさい。あたしは…宏也とは、付き合えない」
「うん」

あたしの気持ち、最後まで聞いてね…?

「だけ…どね?あ…たしっ、ホントに…宏也が、好きだったよ?
宏也の優しいところ、大好きだった…っ。
宏也を諦めず、ずっと想い続けたこと…あたしは、後悔しないよ。
…初恋が、宏也でよかった。
好きになったのが、宏也でよかった。
宏也…あたしに、いろんな気持ち教えてくれてありがとう…っ!
…気持ちに気付かせてくれて、ありがとう。
宏也。あたしは、昔も、今も。これからも…宏也が幸せになれること、誰よりも願ってる!」

「美月…ズリィよ…。なんで、んなこと言うんだよ…。
こんな言葉、胸が痛いじゃねぇか…。
だけど、すげぇ…嬉しいよ。
美月。気持ち話してくれて、サンキューな。
美月を好きって気づいたこと、後悔してねぇ。
むしろ、よかったと思ってる。
俺も、美月の幸せ、願ってるから。
だからさ、美月。頑張れ!」

そう言って、あたしの背中を優しく押した。
宏也はポツリ、言った。

「兄ちゃん、まだ学校にいるから」

あたしは宏也に
「ありがとう!」

そう言って、走った。


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