【完】短編集~幼馴染み~
「あ、杏子おはよ~って、あれ、敦志くんは?」
「あんなの知らないっ!!」

あたしは鞄を机に叩きつけ、勢いよく椅子に座った。

「まぁ、これでも食べて落ちついて」
沙世がくれたのは、一粒のチョコ。
「ありがと、沙世」

口に含むと、ほどよい甘さが口に広がる。

「落ちついた?」
「うん、ありがと」

沙世のおかげで落ちついたのに…

「――…杏子っ!!」

コイツの顔を見て、またさっきのことを思い出す。

あたしは思いっきり顔をそむけた。

「おい、杏子」
「話しかけないで!敦志なんてもう知らないんだからッ」

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