【完】短編集~幼馴染み~
「嘘つくな。さっき、教室入ったときも見えた。肩にある、傷…。見間違いだと、思ったんだけど…芽久が後ろ向いたとき、ハッキリ見えたから」

「消えたってば!!」

私は蒼ちゃんの方を向いた。

「なんで嘘つくんだよ!」

蒼ちゃんは私を壁に押し付けた。

「嘘なんて、ついてない!もう、消えたことにしたの!それでいいでしょ!?」
「よくねぇだろ!!」
「いいの!!私がそうしたの!もう傷はないっ!!」
「んでだよ!!なんでそんな…」

どうして…そんな悲しい瞳をするの…?

「なんで…消えたって嘘ついたんだよっ」

“蒼ちゃんを縛りたくなかった”

正直に、こう言えばいいの?
でも、そしたら蒼ちゃんは…

きっと、自分を責める。

「なんだって…いいでしょ?」
「芽久っっ!!」

「蒼ちゃんに、関係ないじゃん!!」

私は体操服を着て、教室を出た。

溢れ出る涙を、袖口で拭いながら、ひたすら走った。
< 5 / 587 >

この作品をシェア

pagetop