【完】短編集~幼馴染み~
「俺は…好きって気持ちを消さなくていいと思うよ。
無理に、忘れなくてもいいんじゃないかな」

ポツリ、先輩は呟いた。

「えっ?」

「その好きって気持ちがあったから。彼を好きだったから。
今の早川さんがあるんだよ。無理にその気持ちをかき消そうとしたら、余計辛いでしょ?
だからさ。消そうとか、思わなくていいよ」

消さなくて…いい?

「彼を好きな気持ち、大事に思い出にしていけばいいよ。
その時頑張った強さが、きっと早川さんの背中を押してくれるから」

先輩は優しく、微笑んだ。

「ね?」
「は、い」




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