【完】短編集~幼馴染み~
「翼くんもついに卒業だね」
「まだあんま実感わかねぇけどな」
「大学のほうに行けば嫌でも実感しちゃうよ」

あ…墓穴掘った。
自分で言って自分で泣きそうになる。

「ハハっ、そうだな」
「う、うん!そ、そうだよ…」

3月の初めだから、吹く風がまだ冷たく肌にあたる。

「美月……」
「な、に?」
「ごめんな、遠距離になって」
「謝らないで…っ」

だって、翼くんは……

「教師になるために、大学で頑張るんでしょう?
ずっとずっと…夢みてきて…やっとまた一歩、その夢に近づいたんだよ?
あたしは…翼くんを、応援してるから」

「ありがとう、美月」

そう。翼くんは教員免許をとるために、大学へ進む。

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