【完】短編集~幼馴染み~
言ってしまった。
今まで溜めこんでいたこと、全部。
流してしまった。
我慢していた涙。

「俺は――……」
その続きを聞くのが、怖い。


けど、あたしはちゃんと聞かなきゃいけない。
全部言ったんだから、あたしもちゃんと聞かないと。

「…確かに最初、莉那に告白されたときは…戸惑った。もしも断ったら…今までの関係が壊れるんじゃないかって、怖くなった。だから、付き合ったのかもしれない」

「…っ!」

「莉那の気持ちを知った途端…莉那をだんだん意識し始めた。俺をみつめる莉那の瞳が、特別な感じがした。俺は、それが嬉しかったよ。あぁ、俺は莉那にとって…特別なんだなって想った。だから俺は、気付かなかったんだ。莉那に一番大事な言葉言ってなかったこと。莉那の、不安にも。莉那、傷付けて、ごめん――……。不安にさせて、ごめん――……。俺は…ちゃんと、莉那が好きだよ」

「…っ…っ…」
「不安にさせて、ごめん。これからは…俺も押しまくるから覚悟しとけよ。校内でだって、イチャイチャしてやる。見せつけるんだ。莉那は俺の女だってこと…」

“俺の女”その言葉が、嬉しすぎて――……。
あたしは何も言えず、ただただ泣いていた。

「莉那……中途半端な気持ちで付き合って、ごめんな。けど…俺は今、ちゃんと…お前が好きだよ。1人の女として…莉那のことが好きだ」

「っ、ホントに…?」

「最初から最後まで、ホント」

そう言うと隆也はあたしを強く抱きしめた。
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