きゅーぴっど
あの後、互いに落ち着こうということで
俺は風呂で、天使は外に出て頭を冷やしにいった。
――ちゃぽん、と音を立てて湯船に入る
《――お前だってあの白崎美鈴っていう子を前にしたらチェリーボーイみたいになるくせに―…》
俺は風呂場の天井を見上げながら
先程天使に言われた言葉を思い出した。
『確かに、俺らしくないよな……』
美鈴ちゃんに出会う前は、女の子ととっかえひっかえ付き合ってたのに
優しくするのも、愛の言葉を囁くのも簡単だったのに
美鈴ちゃんを前にすると何も出来なくなる。
『情けな……』
ハァ、と溜め息を吐いた
自分で言っていてへこんでしまう
でも、なぜだろう
今の自分が嫌いではなかった。
好きな人の前だと、緊張してしまう
女の子と付き合っていたとき、俺は遊びと割りきってたけど
彼女達は皆こんな気持ちだったのだろうか
『あ―…今更身をもって知るなんてな…』
最低だな、俺
と心の中で呟いた。
けど、もう過去は過ぎたものだ
初めて人を好きになった
初めて誰かを思う気持ちを知った
『俺は、美鈴ちゃんと―……』