きゅーぴっど
斎藤正樹side
街の殆どの人間が寝静まった頃
正樹は電気の消えた田中裕也の部屋で携帯を弄っていた。
天使は睡眠を必要としない、食事もとらなくても腹が減らない
力があれば存在できる
人間の身体とは根本的に違うのだ。
俺は携帯を弄りながら、寝ている田中裕也をチラリと見た。
《――俺は美鈴ちゃんを危ない目にあわせたのは許すことはできない――…》
俺はそう言ったときの田中裕也の顔を思い出して、ふ、と笑った
『遊び人っつーから、どんな奴かと思ったら……』
ただの普通の、ちょっと顔のいいだけの恋する高校生じゃねぇか、
と俺は心の中で呟いた。
すると、手に持っていた携帯がブルブルと震えた
見てみると、よく世話になっている同じ班の友人からのメールだった
件名は、〔白崎美鈴の“特徴”、詳しく調べといたよ!〕だ
相変わらず仕事が早いな、とこの場にいない友人の顔を思い浮かべ笑う。
直ぐに俺はメールを開き本文に目を通す
「――…やっぱりな」
これだから、恋のキューピッドなんて仕事はめんどくせぇんだ。
静かな部屋に、俺の溜め息が空しく響いた。