きゅーぴっど

「……別に、助けてもらったお礼をしてただけだよ」


と美鈴ちゃんはまるで威圧するようなオーラをはなっている男にも負けじと言い返す。

そんな美鈴ちゃんに男はハッ、と鼻で笑った。


『なんだこいつ、すっげぇ感じ悪……』


と男の態度にイラついていると、男はくるりと俺を真っ正面から見てきて、思わず肩が跳ねた。


「あんた、田中裕也だろ？」
「なんで俺の名前を…」
「有名だぜ、顔がいいけどすごい遊び人だってな」


ぎくり、と俺は図星をつかれて押し黙る。


『やっぱりこいつ美鈴ちゃんの彼氏か……？』


なら「近づくな」とか言って牽制されるのか……

と俺は心の中で溜め息を吐いた。
そりゃあんな可愛い子だから彼氏いるかもとは思っていたが……


『やっぱり、へこむなぁ…』


はは、と周りに気付かれないように軽く笑う


だけど、彼氏がいるからなんだ。

それぐらいで引く気はない

俺は覚悟を決めて男の次の言葉を待った。