きゅーぴっど


田中裕也side






「ゆうや~!今日カラオケ行かない?」
「あ、ずるい!抜け駆け禁止だよ!」
「裕也今日もちょ~カッコいい~!」


授業が終わるなり俺の机に群がる女の子たちは、

猫なで声で俺に話し掛けてくる


「わり、俺用事あるから」


俺が申し訳なさそうにそう告げると
途端に女の子たちはえぇ―ッ!と口々に言う

じゃあまた明日、とそそくさと教室を出ようとすると、
俺を囲っていた女の子たちの一人が


「裕也さぁ、最近すぐ帰っちゃうけど……彼女でもできたの?」


そう言った瞬間、
俺はドアに掛けていた手を止めた

背中には女の子の詮索するような視線がチクチクと突き刺さる。


俺は振り返って女の子たちを一瞥すると

フ、と笑い


「まさか」


そう言って今度こそ俺は教室をでたのだった。






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