For you


こんな時、
蒼が鈍感で良かったと思う。



まだニヤニヤしている男子達を睨みながらサッカーをした。


昼休みが終わるチャイムがなると、


「教室戻んぞー!」



蒼の掛け声とともに、みんなぞろぞろ教室に向かう。



「ほい、結城」

「え?」


ひょいとあたしに投げられたサッカーボール。



訳がわからず首をかしげると、


「歩いてきた罰!それ、片付けてこいよ」


ニヤリと笑って制服のYシャツで汗をふく。

その仕草が妙に色っぽくて…



「っ……」



あたしは1人、
顔を赤くしていた。



「じゃあ、よろしくー」

返事をしないことをいい事に、蒼は教室に戻ろうとしたからあたしは持っていたサッカーボールを蒼に投げつけた。



「いてっ!なんだよ、結城!」

「女の子1人で行かせるなんてどうな訳ー?」


あたしがそう言うと、
蒼はあたしの元に戻ってきて


「さっさと行くぞ!」


そう言ってスタスタ歩きだした。

< 11 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop