For you
こんな時、
蒼が鈍感で良かったと思う。
まだニヤニヤしている男子達を睨みながらサッカーをした。
昼休みが終わるチャイムがなると、
「教室戻んぞー!」
蒼の掛け声とともに、みんなぞろぞろ教室に向かう。
「ほい、結城」
「え?」
ひょいとあたしに投げられたサッカーボール。
訳がわからず首をかしげると、
「歩いてきた罰!それ、片付けてこいよ」
ニヤリと笑って制服のYシャツで汗をふく。
その仕草が妙に色っぽくて…
「っ……」
あたしは1人、
顔を赤くしていた。
「じゃあ、よろしくー」
返事をしないことをいい事に、蒼は教室に戻ろうとしたからあたしは持っていたサッカーボールを蒼に投げつけた。
「いてっ!なんだよ、結城!」
「女の子1人で行かせるなんてどうな訳ー?」
あたしがそう言うと、
蒼はあたしの元に戻ってきて
「さっさと行くぞ!」
そう言ってスタスタ歩きだした。