For you
しつれん
いつもと変わらない朝のはずだった。
いつも通りに教室にいって蒼に挨拶して。
「蒼、おはよー!」
いつもならここで、おはようって返ってくるはずなのに
「……」
「…蒼?」
今日は返ってこなかった。
窓側の自分の席に座って、頬杖をついて空をボーとみていた。
「おーい、蒼?」
「……」
いくら話かけてもあたしの存在なんか気付いてないみたいで、
少しだけ胸が苦しくなった。
「蒼、朝きてからずっとああなんだよ。多分、あのこと聞いちゃったからだと思うんだけどな」
そう、あたしに教えてくれたのは同じクラスの男子。
「あの、こと?」
なんだか、とても嫌な予感がした。
「そうそう。2週間くらい前からなんだけどさ……」
――――――
―――――
「……蒼」
蒼、あんた、なんて顔してんのよ。