For you
あたしは我慢できなくて
「蒼、きて」
「…は?結城?」
クラスメートからの優しい視線を受けながら、あたしは結城の腕を掴んで教室をでた。
屋上に行く廊下は隣の教室の前を通らなきゃいけなくて、
たまたま目に入った隣の教室。
そこには顔を赤く染めた萌亜ちゃんがいて、
その前には優しい顔で萌亜ちゃんを見つめる――――萌亜ちゃんの彼氏がいた。
止まった蒼の足にあたしも足をとめる。
2人の姿を見て顔を歪める蒼をみて、あたしは蒼の腕をグイッと引っ張り走り出した。
「結城?!」
そんな蒼の言葉を無視して屋上まで走った。
蒼、そんな顔、お願いだからしないで……
ガチャ――
屋上のドアを開けるとヒューと風がふいてスカートがゆれる。