For you



ダサくなんてないよ、蒼。



「もう、俺…どうしたらいいんだよっ」



蒼がフェンスに寄りかかりそのままズルズルと下がっていくのがわかった。



「もっと、もっと早くアドレス聞けば…もっと積極的だったらさ、俺にも可能性あったのかな…」


あたしは我慢出来ず、蒼の元に駆け寄り

小さくうずくまっている蒼を抱きしめた。




「蒼、蒼っ」



蒼、泣かないで。
お願いだから泣かないで。



「お、れ、ただ好きなだけだったのに」


こきざみに震える蒼がとても小さくみえて、


「う、ん。そうだね、グスッ」



蒼の震えた腕がゆっくりあたしの背中に回る。


「俺が、俺が……っ!」

「あ、お」



ねぇ、蒼。
萌亜ちゃんなんて好きにならなければよかったのに。



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