For you
体育祭当日。
体育祭日和、快晴だった。
「あちぃーな、今日!」
「はぁ、日焼けする…」
「いーじゃん、結城。障害物競争だろ?」
「よくない、めんどくさすぎる…」
どこがいいんだ、ばか。
障害物競争とかめんどくさすぎる……
蒼と歩きながら話していると、
「萌亜は障害物競争だもんねぇ」
そんな言葉が耳に入ってきて、ドクンと心臓がうった。
声の人は隣のクラス、萌亜ちゃんと同じクラスでいつも一緒に見る子のものだった。
「萌亜ちゃんも、障害物競争なんだな」
萌亜ちゃんを見ながら言ったそれが、
あたしを苦しめる。
無意識だろうけど、
蒼が自然と笑顔になる。
優しい目で萌亜ちゃんをみる。
――そんな目で萌亜ちゃんを見ないで
そんな醜い感情をどうかなくして、
「そう、みたいだね」
「ちゃんと走れんのかな」
ふっと笑う蒼。
嫉妬があたしをお そ う