For you



もう一度、萌亜ちゃんを見るとまたこっちをみていて




「な、に…」



目が合うとまた逸らされた。


なに、なに、なに。
何なの。


今の視線はなに、萌亜ちゃん。


気づけば萌亜ちゃんを睨んでいた。




「結城?座んねーの?」


「え、あ、うん。座るすわる!」



蒼に話しかけられて我に返ったあたしは、

自然と開けられている蒼の隣の場所に腰をかけた。




付き合ってなくても、片思いでも、

蒼の隣にはあたしがいる。



そのことが嬉しくてつい、顔がニヤける。


「ニヤけてんなよ、気持ち悪いぞ結城」


「なに?!気持ち悪いはないでしょ、バカ蒼!」



だから、忘れていた。
さっきの萌亜ちゃんの視線に――






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