For you
「いつから?なんで好きになったの!」
「この前、廊下ですれ違った時に俺がふでばこ落としてさ…」
頭をポリポリかいて目を泳がせながらボソボソ言う蒼にあたしは吹き出した。
「ぶはっ!蒼は乙女かよ!」
「ち、ちげーよ!」
慌てるところもまた面白くてあたしは当分の間笑いが止まらなかった。
「もういーよ!結城に言った俺がバカだった」
拗ねた蒼もまたおかしくて、
「はは、ははっ!ご、ごめん…続けて…はは!」
「おい、結城!」
「くははっ!ごめんって!ははっはー…お腹いたい」
笑いすぎて涙がでたあたしを見た蒼が呆れた笑顔を見せた。
その時、
きっとその時が始まりだったんだろうな…
ドキン―
って一瞬、ほんのちょっとだけ胸が高鳴った。