神サマの憂鬱。
(まさか、我が息子は…!)
「僕が、この魔界をいいところに変えてみせます!」
ぐっと拳に力をいれて語るハバネとは逆に、魔王は両腕で頭を抱える。
「やはり、悪魔って確かに悪いところもありますけど、いいところだってあるんです」
だからいいことで溢れる魔界にして見せます!と満面の笑みを浮かべた。
「……そう、か」
(あぁ、なんてことだ)
本当の悪魔を教えてやり、それをハバネにやらせるつもりでいたのに。
(逆に余計にいいところにすると! その手伝いをしてしまったのか、我は!)
魔王はなんとしてもハバネが考えを改めるその日まで、魔王をし続けねばならないと額を押さえた。
【END】