セックス·フレンド【完結】
人形か…。



人形になれたら、どんなに楽だろうと思った。


心がなくなれば、悲しみも嫉妬も感じなくてすむのに、と。


そして、西村君の半分でも、隆也があたしの気持ちを理解してくれたら、どんなに有り難いかとも。


「ほら、またやつのこと考えてる」


西村君があたしの顔を覗き込んだ。


「何があったか、話してごらんよ」


西村君に頭を撫でられ、あたしは、彼の肩にもたれた。


気持ちは晴れなかったけれど、西村君がいてくれてよかったと思った。



その日、西村君はあたしを抱かなかった。


ただ、抱きしめて眠ってくれた。



こういう慰め方もあるということを、あたしは、しばらく忘れていたような気がする。
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