セックス·フレンド【完結】
「…きれい」


そう言いながら、正直、指輪ではなかったことにがっかりしていた。


無論、恋人でもない女の子に指輪を贈る男なんてほとんどいないのだろうけれど、それでも、あたしは指輪が欲しかった。


ガラス玉でもビーズでもいい。


どんな安物でも構わないから、指輪さえ貰えれば、あたしは、竹内ミキに一歩近づけるのに…。


「一応、プラチナだから、金属アレルギーの美杉でも大丈夫だよ。エメラルドは美杉の誕生石だろ?あと、小さいけど、ダイヤも入ってる」


昔、隆也から貰ったネックレスはメッキで、金属アレルギーのあたしはほとんどつけてあげられなかった。


そのことを、覚えていたのだろうか?


貰ったネックレスは、本当に美しかった。


あたしの誕生石はエメラルドだ。そして、隆也の誕生石はダイヤモンド。


その2つの宝石が織りなす妖艶な輝き。


決して、安くはなかっただろう。



なのに、指輪を望むなんて、馬鹿げている。


あたしは、今度こそ心の底から「ありがとう」と言った。
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