セックス·フレンド【完結】
西村君とは、ホテルのロビーで待ちあわせた。


彼はスーツを着ていた。


初めて見るスーツ姿に思わず吹き出したあたしに、西村君は不満そうな顔をした。


「な、何がおかしいんだよ」


「だって、ホストみたい」


つい、正直に思ったことを口にしたあたしに、西村君は、「やっぱり?」と頭をかいた。



「大学の入学式以来だよ」


ピンク色のワイシャツのボタンを二つ開け、ネクタイは閉めておらず、栗色の髪の毛をした西村君は、ちょっぴり浮いている。


「でも似合ってる。大人っぽいよ」



嫌みギリギリのお世辞に、西村君は嬉しそうに頷き、腕を突き出した。



「どうぞ。お姫様」



彼の腕に自分の腕を絡め、あたしたちはレストランのある階に向かった。
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