セックス·フレンド【完結】
「えぇ?あたしは、毎日でも食べたいくらいだよ」


いらないならちょうだいと、卑しくも西村君のお皿にまで手を伸ばすあたしに、彼は目を細めている。


「よかった、みぃたんが楽しそうにしてくれて」

その優しい眼差しに少しだけ慌てる。


「な、なによ、急に」


「べつに。みぃたん食い意地張ってるなぁって感心してただけ」


「むかつくなぁ~」


ロマンチックではないけれど、楽しい。


まるで、本物のデートみたいだと思った。


人目を気にせず堂々と腕を組み、相手の顔色伺うことなく冗談を言い、鳴り響く携帯音にも帰る時間にも怯える必要がない。


セックスが必ずしも最終目的ではなく、自然な流れでそこへ行き着く。



本物の恋人同士は、こんな風にデートするんだろうなと思った。
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