セックス·フレンド【完結】
「ありがとう。一生大切にする」


「大げさだなぁ」


ブランド品でもない安物に、彼はこちらが恐縮するくらい感激した。



シルバーで飾り気のないジッポを、色んな角度から眺め、火をつけたり消したりしている。



「だめだよ、ここは禁煙なんだから」


「はーい!」


西村君はようやくジッポを胸ポケットにしまい、ケーキを嬉しそうに食べた。



「お礼に、このあとたっぷりサービスするからね」


口元にチョコレートをつけながら、西村君がいたずらな笑みを浮かべる。


「ばか!声がでかいって」



あたしはキョロキョロと周りを見渡し、肩をすくめた。


と、その時、ある1卓のテーブルに座る男女に、あたしの視線は止まった。


心臓の動きが加速する。


どうして、気づかなかったのだろう…。



少し離れたテーブルに座っていたのは、隆也と竹内ミキだった。
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