セックス·フレンド【完結】
「い、行こう。もう出よう」


勢いよく立ち上がったあたしは、テーブルにぶつかって、その拍子にグラスを倒してしまった。


ガチャンと音がして、何人かのお客さんがあたしを振り返る。


「大丈夫ですか、お客様?!」


ホテルの従業員がナプキンを片手に駆け寄った時、隆也が初めてあたしの方を見た。


目が合うと、彼は、とても驚いた顔をした。



あたしは、急いで彼から目を背け、駆けつけた従業員に謝り、足早にレストランを出て行った。



もう、隆也が、こちらに目を向けることはなかった。
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