セックス·フレンド【完結】
電話を切ると、あたしは急いで支度を整えた。


これから少し会わないかと、隆也に誘われたからだ。



隆也は夜勤明けで、竹内ミキは仕事。あたしは夕方からアルバイトがあった。


「ホテルへ行く時間なんかないよ」と言ったあたしに、「セックスがしたいわけじゃないんだ。ただ、美杉に会いたいだけなんだ」と隆也は答えた。



それで、あたしは彼を完全に許してしまった。


バカだ。本当にバカなんだから。


なのに、心が弾む。


スエットからワンピースに着替え、ボサボサの髪の毛をとかし、コテで緩やかに巻く。


まつげにたっぷりのマスカラを乗せながら、あたしは自分自身に呆れていた。


なんて、単純なんだろう。
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