セックス·フレンド【完結】
「今年こそ、剣道で全国大会へ行けますようにって、そうお願いしたんだ」


急に真面目な顔をして隆也は言った。


「神頼みなんて情けないんだけど、去年はあまりいい結果を出せなくてさ。それで、結構へこんでたんだ」


知らなかった。


高校時代は百戦錬磨で、県下では敵なしの名の知れた選手だった隆也しか、あたしは知らない。


彼はあまり自慢したり粋がったりするタイプではなかったが、剣道に関してはだけは別だった。


本当に強かったし、また、それ以上に努力もしていた。


自分の強さに、いい意味で自信と誇りを持っていた。


そんな隆也が吐いた、初めての弱音だった。
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